今週のお題「一気読みした漫画」
ページをめくる手が止まらないだって?
山ほどあるぜ、どれにしようかと思ってよく見たら、マンガ限定なんですね。
小説だと、本当にページをめくる手が止まらないことはしょっちゅうあり、つい最近も9巻を立て続けに読みまくるなんてこともあったのですが、マンガではそういうことはほとんどありません。
これは没入度の違いのような気がします。
小説では、イメージを自分の脳内に構築しなければならないので、VRよりも深く没入することになります。
マンガはイメージがすでに自分の外側に作られているので、映画のように第三者として眺める形になり、没入感は低くなります。
まあ、とは言え、読み始めたら止まらなくなるマンガというのはあります。
そして、本当に手元に置きたいものは、一気読みしたくないマンガであるということもあります。
一気読みしたくなるマンガ
私の場合、一気読みしたくなるマンガは、スポーツもので、しかも既に読んだことがあるものが多いように思います。
いろいろありますが、いくつか挙げてみます。
柔道部物語
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柔道初心者の三五 十五(さんごじゅうご)が、まったくやるつもりのなかった柔道部に入部し、全国大会レベルになっていく過程がわくわくするようなスピード感で描かれています。
主人公以外の先生や先輩、後輩たちも存在感を持って生き生きと動き回って、まるで一緒に高校生活を過ごしているように錯覚してしまいます。
スポーツものらしく、ライバルもそれぞれ一癖も二癖もあるキャラクターが現れてきて、三五との勝負を盛り上げてくれます。
もうストーリーは頭に入っているのに、絵の迫力とストーリーのスピード感でページをめくる手が止まらなくなるのです。
1年先輩の小柴、鷲尾、平尾は、何かをやり抜こうという時に一緒にいてほしい3人です。
同じ作者さんが、女子柔道の金メダリストがご近所に住んでいるというふざけた理由で引退を撤回し、「JJM 女子柔道部物語」を書き始めています。
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こちらは連載中で、先がとても楽しみです。
スラムダンク
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かなり知名度の高い作品です。
いくつもの名言が独り歩きしています。
「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」「まだ慌てるような時間じゃない」「バスケがしたいです」「まるで成長していない」「天才ですから」
これも桜木花道のキャラクターに引っ張られて、ものすごいスピード感で話が進んでいきます。
読み始めると、いつも最終巻の、音すらも消えたゾーンの世界を実感させてくれるラストに向かって、ものすごい勢いで読み進めてしまいます。
ドカベン
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これも殿堂入りの作品ですが、いかんせん長すぎて一気読みができません。
それでも、試合一つが終わるまでは(数巻かかるのですが)、読み続けてしまいます。
出てくるキャラクターたちの面白さと、とんでもないバリエーションに富んだライバルたち(けっこうとんでもない設定もありました)がこちらを飽きさせません。
水島新司ファンなら涙が出るほどうれしい、水島版アベンジャーズともいえる「大甲子園」という怪作もあります。
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登場するキャラクターを見るだけでうれしくなる作品です。
一気読みしたくないマンガ
本当に好きなマンガの場合は、一気読みするより、少しずつ空気感を味わって、余韻を感じながらちびちびと読む方が多いです。
最終巻に近づくほど寂しくなって、なるべく引き延ばしたりしてしまいます。
横浜買い出し紀行
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ゆっくりと終わっていく世界と、それを受け入れて静かに過ぎてゆく時間を感じながら、いろいろな体験をすることになります。
一話ずつ、ゆっくりと読み進めたい本です。
プリンセスメゾン
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自分の手が届く範囲を真剣に見極めて、自分の欲しいものをしっかりとたぐりよせていくお話です。
登場人物みんなが愛おしくなって、読み終わるのがさみしいけれど、これからもみんなしっかりと進んでいくのだろうと感じて、ほんわかとなります。
ちひろさん
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お弁当屋で働くちひろさんは、誰にも見通せない世界を自分のうちに秘めています。
いろいろな人と関わって、その人の価値観を変えていくような彼女は、読む人に、自分の中にも同じような空間があることを感じさせてくれます。
自分が本当に望むように生きることがそれほど簡単ではないということを教えてくれるこの物語は、それでもどこか懐かしく感じられます。
「ちひろさん」に惹かれるものがあったら、ぜひこの前段である「ちひろ」も読んでみてください。
ちひろさんよりずっと荒々しくて容赦のないちひろを見ることができます。
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