家の片付けを進めていると、片付けても片付けてもあふれ出てくる本の山にうんざりさせられます。
3千冊くらいは処分したのですが、まだ1万5千冊くらい残っています。
古い本は染みが出たり、糊が劣化してバラバラになりそうなものもあります。
それでも、古い本ほど再入手が難しいものが多く、電子書籍になっていないものも大量にあるので、なかなか処分するのが難しいです。
せめて3分の1でも電子書籍に変えられれば、かなりボリュームを減らすことができるのですが、なかなかその気になれません。
電子書籍を数十冊買って試してみて、私にとってかなり気になる問題がいくつもあるからです。
お金がかかるということも一つの要因ですが、それより大きな問題があります。
集中が続かない
紙の本だと、話に引き込まれてくると、どんどん集中力が増していき、2時間や3時間その世界に没入することができます。
電子書籍の場合、10分くらいで集中が切れます。
慣れもあるのかもしれませんが、好きな本を読んでも集中できないので、ガジェット側に問題がある気がします。
見開きで読めない
マンガはもちろんですが、文字の本の場合でも、見開きのページで全体を意識しながら文字を追うことができないのは違和感があります。
文章を追って読むときに、実際に読んでいる行以外に、先読みとすでに読んだ部分の確認読みを常に行っています。
電子書籍だと、表示できるのが1ページ単位なので、立体的に読むことができません。
これだと理解度を深めることがやりにくくなります。
顔の上に落ちると痛い
横になって本を読むケースがありますが、読んでいるうちにうとうとして、顔の上に落してしまうことがあります。
電子書籍のガジェットは重くて硬いので、とても痛いです。
目が覚めてしまいます。
涙が出ます。
どれくらい読んだか、あとどれくらいあるのかがわかりにくい
トーマス・マンの「魔の山」とか、京極堂シリーズのような「立つ」本などで顕著なのですが、紙の本の場合、自分がいま、どのあたりにいるのかが直感的にわかります。
電子書籍は「残192ページ」というのがわかっても、自分がその本の世界のどのあたりを漂っているのかがわかりません。
これができないのもつらいところです。
所有権が完全に移らない
キンドルは、アマゾンの判断で購入した本を閲覧できないようにすることができます。
アメリカで、ある人が犯罪行為を犯した人と同姓同名だったということで購入したキンドル本の権利をすべて消されてしまったというケースがあります。
自分で購入した本を勝手に閲覧不可にされてしまうのは、不安定で納得できるものではありません。
アマゾンに限らず、楽天ブックスでも楽天カードを切り替えたら、購入していた本がすべて見られなくなりました。
購入した時の環境が死ぬまで続くわけではないので、そこで縛りをかけられるのはきついです。
これまでにも何社かの電子書籍提供業者がサービスを廃止しましたが、そこで購入した本は読めなくなっています。
その本を仕事で使用している場合、絶版になってしまったりした本を新たに手に入れるのが非常に難しくなるので、ここがいちばん個人的には問題だと思っています。
これからの本との付き合い方
世界の紙の本から電子書籍へ移行する流れは止まらないと思います。
というより、特に日本で、本を読む習慣が急速に廃れている気がします。
本を読むのは、読解力や集中力を訓練するうえで、非常に有効なトレーニングです。
ラノベでも、純文学でも、ビジネス書でも、トレーニングに有効である点は変わりません。
読んでいるうちに内容がないとか、理論展開がおかしいというものが見えてくるので、多く読めば読むほど読解能力は上がります。
抽象化を伸ばしたいのであれば、詩歌を読み込むとよいです。
とりあえず、自分が読めるものから読み始めて、能力向上を目指しましょう。
おもしろい本を読むのは、人生のもっとも楽しい時間の過ごし方の一つです。