今週のお題「読んでよかった・書いてよかった2024」
2024年ももう12月半ば、時の経つのは早いものです。
今年もたくさんの本を読みましたが、少し変わったホラー小説を読みました。
饗庭淵(あえばふち)さんの「対怪異アンドロイド開発研究室」です。
価格:1815円 |
科学でとらえきれない怪異とAIが出会ったとき、どのようなふるまいになるのか。どんなことが起き、どんな結果を招くのか。
このアプローチはなかなかに新しく、とても楽しくページを繰ることができました。
AI搭載アンドロイドであるアリサは、怪異が観測された地点にためらいなく侵入します。
もとよりアンドロイドであるため、恐怖心がありません。
怪異と思われるものに遭遇しても、遭遇したという事実を認識するだけで、怯えることも逃げることもありません。
淡々と分析し、記録し、さらなる事象の発生を待ち受け、進んでいきます。
こう見ると、あまりホラー味がないように思われますが、起こる事象はちゃんとホラーです。
「不明廃村」
廃屋の和室の真ん中に立っている赤い郵便ポスト。
人のいない廃村の中の旅館で用意されている食事。
「回送列車」
座席の上に残置物が残されている、人のまったく乗っていない最終電車。
乗車してしまった女はアリサとともに電車を出るが消えてしまう。
「共死蠱惑」
顔を見るだけで死にたくなってしまう女。
アリサの暴力、アンドロイドパンチがさく裂します。
「餐街雑居」
定食を頼むと、無限にサービスの料理が供される廃ビルの中華料理店。
敵か味方かわからない霊能力者はアリサのモデルを知っていた。
首だけになって運ばれるアリサ。
「異界案内」
タクシーに乗って帰ってみると、そこにいるはずの教授も誰もいない大学。
異界に居なかったはずの教授たちも覚えていない異常行動をとっている。
そこに現れる、かつて相まみえたあの人間。
「非訪問者」
研究室のメンバーの家に、いないはず、来ないはずの訪問者が訪れる。
何が起こるか確認したいとドアを開けようとするアリサと、必死で止めるメンバー。
そしてストーカーを捕らえるアリサ。
「幽冥寒村」
自由行動を命令され、消えるアリサ。
行ってはいけないその場所には、廃村にあった建物や怪異が集まってきている。
そこに行った研究室メンバーはとんでもないものと遭遇することになる。
怪異には怪異を。
人間が相手でも怪異が相手でも、ルールは適用される。
どうです、少しは見たくなってきたのではないかしら。
そして私はアリサと研究室のお話の続きを希(こいねが)ってしまうのです。
怪異を力でねじ伏せる(こともある)高性能AI搭載アンドロイドなんて、何をしでかしてくれるか気になって仕方がないじゃありませんか。