JP Road mirage - Sumomo Toxin / すもも毒素

現在波乱の真っ只中です。そんな中で実際にしたこと、感じたことを書いていきます。これが誰かの助けになればうれしいです。

読んでおくと人生が豊かになるSF 海外編

今週のお題「SFといえば」

いろいろな本を、SFとかミステリとか純文学とかに関係なく摂取してきた私ですが、これは明らかにSFであるという本もあります。

これは読んだ人に新しい世界の可能性を示してくれそうというお話をいくつか挙げてみました。

アイザック・アシモフ 銀河帝国の興亡

銀河帝国の興亡1【新訳版】 風雲編 (創元SF文庫) [ アイザック・アシモフ ]

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銀河帝国の興亡2【新訳版】 怒濤編 (創元SF文庫) [ アイザック・アシモフ ]

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銀河帝国の興亡 3 回天編 (創元SF文庫) [ アイザック・アシモフ ]

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タイトルからしスペースオペラかと思いましたが、実際は厳密な考証のうちに書かれた仮想国家年代記でした。

永遠に栄光が続くと思われた銀河帝国が衰退し、進んでいく道が実際の年代記のように書かれていますが、かたい印象はなく、それぞれの時代の人間たちが、自分たちの望む方向へ必死に向かう姿がスリリングに描かれています。

筋の通ったストーリーをハリー・セルダン、エンサイクロペディア・ギャラクティカ、ミュール、第二ファウンデーションなどの魅力的なキーワードが彩り、飽きることなく読み通せます。

アシモフというたった一人の人間が、この広大な世界を作り上げたかと思うと驚きに堪えません。

たくさんの視点で物事を見ることに興味のある人は、読めば大きな知見を得ることができるでしょう。

ロバート・A・ハインライン 月は無慈悲な夜の女王

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫) [ ロバート・A.ハインライン ]

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タイトルからしスペースオペラかと思いましたが、植民地である月が地球から独立するまでを記した仮想歴史小説であり、AIの愛らしさを知ることができるお話です。

独立のために革命組織を作る過程の綿密さと、可能な形で最大の効果のある武器の作り方などを、チートなAIがサポートして、現実味を持って進めていきます。

ストーリーの骨太さを、成長していくAIとそれに誠実に対応する主人公のマニーの関係が彩ります。とにかくAIのマイクがかわいい。ラストの、マニーがマイクは今も一所懸命に出口を探しているんじゃないかという思いに大きく共感してしまいます。

AIについて理解をしたい人は、ぜひご一読を。暗い未来も想定できますが、実現可能な明るい未来を垣間見ることができます。

アーサー・C・クラーク 海底牧場

海底牧場【電子書籍】[ アーサー・C・クラーク ]

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人類が海底を開拓していく物語です。

新しい世界というときに、宇宙がよく取り上げられますが、海底もまた人類の手がいまだに届いていない領域の一つです。

科学的な考察はもちろん面白いのですが、人間ドラマがとても魅力的です。

反発していた相手が事故で亡くなってしまった後、その相手のために後を引き継ぐ姿がとても美しく思えました。

仕事をするということについて悩んでいるときに読むとよいかもしれません。

ウィリアム・ギブスン ニューロマンサー

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫) [ ウィリアム・ギブソン ]

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スピーディでスリリング。とにかく格好のよい、サイバーパンクの傑作です。

必ずしも正義ではないけれど、悪でもない。普通の人が望まない道を一直線に進んでいく姿はいっそストイックでもあります。

RUNする(仕掛ける)時のスピード感はすごく、なだれ落ちてくる大量の不測の事態を逃げ切るところは息をつかせません。

サブタイトルがクールなので、見てください:

  • 第一部 千葉市憂愁(チバ・シティ・ブルーズ)
  • 第二部 買物遠征(ショッピング・エクスペディション)
  • 第三部 真夜中(ミッドナイト)のジュール・ヴェルヌ通り
  • 第四部 迷光仕掛け(ストレイライト・ラン)
  • 結尾(コーダ) 出発(デパーチャ)と到着(アライヴァル)

電脳カウボーイのケイス、殺し屋のモリィに情報屋のフィン。どのキャラクターも魅力的で、一部は続編にも登場します。

コンピューター・ドランカーの方は読んでみると、進んでいく道が見えてくるかもしれません。

続編のカウント・ゼロ、モナリザ・オーバードライブもとんでもなく面白いので、お手に取ってみられることをお勧めします。記憶屋ジョニィもいいです。

カウント・ゼロ【電子書籍】[ ウィリアム・ギブスン ]

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レイ・ブラッドベリ 十月はたそがれの国

ブラッドベリの創り出す世界は、夜の支配が増してくる10月頃の季節に似合います。

暗闇の、あるいは薄暗い世界があたりを包み、いつも見ている世界がその形を変えてくる瞬間を目撃してしまうと、元の世界に戻ることが難しくなります。

リアルな世界に疲れたとき、どこかに消えてしまいたくなったときに、すぐそばに在るもう一つの世界を見つける手助けになるお話たちです。

ウは宇宙船のウもお勧めの短編集です。

ウは宇宙船のウ (創元SF文庫) [ レイ・ブラッドベリ ]

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H・P・ラブクラフト 宇宙からの色

ラヴクラフト全集(4) (創元推理文庫) [ ハワード・フィリップス・ラヴクラフト ]

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ラブクラフトクトゥルフ神話シリーズの創造者として有名ですが、短編の中にも見事な世界を展開してくれています。

宇宙からの色は、少しずつ浸食されていく日常の中から抜け出られないまま、何かに取り込まれてしまう家族と、何かが起こっているとわかりながら、何をすることもできない無力さを感じさせてくれるとても怖いお話です。

壁のなかの鼠、エーリッヒ・ツァンの音楽、闇をさまようものなど、ラブクラフトの作品には人間と理(ことわり)を異にする存在が多く書かれます。

天使や悪魔のように人間と関わりを持とうとする存在でなく、人間を虫か何かのように考えているかけ離れた存在は、いっそ爽やかです。

現実に飽き足らない人や、人間の視点で考えるより大きな視点で考えたいと思っている人には、何かのヒントになるかもしれません。

A・E・ヴァン・ヴォークト 宇宙船ビーグル号の冒険

宇宙船ビーグル号の冒険 (創元SF文庫) [ A・E・ヴァン・ヴォークト ]

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タイトルはダーウィンのビーグル号航海記からとられており、宇宙を旅しながら立ち寄る各惑星の文物や生物などを記述していくスタイルがダーウィンの著書と共通しています。

主人公は人文、科学などすべての学問を俯瞰してみることのできる総合科学を修めていて、専門化が進み過ぎて視野狭窄になった学者たちの理解を超えた結論を導き出し、問題解決していきます。

ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンもこの総合科学という概念に憧れて経済学者を目指しました。。

総合科学という思想も魅力的ですが、お話もスリリングで、どういう結末になるのか想像もつかないおもしろさがあります。

総合科学という考え方を知りたい人は、ぜひご一読ください。

ハル・クレメント 20億の針

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ある日、空から落ちてきた異星人が、ゼリー状の身体なので地球上で活動するのに不都合で、偶然会った少年に居候させてもらって、一緒に落ちたはずの凶悪犯罪者を探すというお話です。

どこかで聞いたような気が… そうです、ウルトラマン寄生獣などの原型といえるお話です。

主人公は非常に紳士的なゼリー型異星人で、順応力の強い少年とよいバディ関係を構築します。一人なのにバディ。とても新鮮です。

地球の生活に馴染んでゆく過程もおもしろく、誰にとりついているかわからない犯罪者を探す緊迫感もありで、最後まで飽きずに読んでゆけます。

相棒を作り、よい関係を作ってゆくにはどうしたらよいか悩んでいる方にお勧めです。

ロジャー・ゼラズニイ ドリーム・マスター

このお話は、物理化学や宇宙などの多いSFでは珍しく、精神世界に対する人類の挑戦を描きます。

サイコセラピストであるレンダーは、特別な装置を媒介して患者の精神世界に入り込み、患者のトラウマや不安原型の把握をして、劇場型のセラピー空間を作り上げて精神の安定を取り戻させます。

誰よりも優れたセラピストであると自他ともに認めるレンダーは、より困難な課題に挑戦していきます。

傲慢になることで失われる注意深さを意識させ、内省させてくれるこのお話は、自分に大きな自信を持っている方に一読していただくと何かの助けになるでしょう。

イタロ・カルヴィーノ 柔らかい月

このお話はよく言われるSFとは趣きがかなり違います。

読みやすい文章を軽快に読み進めているうちに、思ってもいなかったところに連れていかれてしまい、どうやって元の世界に戻れるのか途方に暮れてしまいます。

飄々とした中に深い考察や新たな切り口の思考法がちりばめられており、思考の万華鏡の中に放り込まれているようです。

もっといろいろな思考法を得たい人、人と違う視点を手に入れたい方にお勧めです。

 

SFは、奇妙奇天烈なものというより、緻密な世界構築や新しい思考実験に満ちた、現実を拡張した世界を見せてくれます。

SFに触れることで、あり得る世界、あり得たであろう世界を経験してみましょう。