今週のお題「あったかくなったら」
いちばん好きな季節は夏なんですが、きらいな季節はありません。
私にとって、夏は本当にたくさんの劇的な出来事を運んできてくれました。ですから、夏になると自分の中のワクワクを抑えることができなくなります。
そんなスリリングな季節はほかにありません。
秋は、いろいろなものが終わる季節です。切ない思いを堪能できるから好きです。
冬は、死を思う季節です。ふだんは意識することのできないメメント・モリを実践できる機会です。雪に降り込められても、ずっと続く煌めく氷結した雪原を歩いていくときも、生命のない世界を想起させてくれる何物にも代えがたい季節です。
春は、死の香りに満ちた冬から、あらゆるものが復活して、萌えいづる喜びを謳歌する季節です。
生命に溢れすぎているこの季節は、なんだか身体も心もゾワゾワします。
だから春はいちばん好きなわけではありません。
それでも、春は待ち遠しいのです。
多くの生命がこの時を待ち焦がれているこの季節が。
今の凍りつく季節の中から見る春は、鮮やかで、艶やかで、どこまでも続く生命のうねりに満ちた、盛大な空騒ぎが透けて見えます。
だから私は、自分がいるその時々の、どの季節も大好きなんです。