ツイッターでいろいろな人がおもしろいと評価していたので読んでみたかった田島列島さんの「水は海に向かって流れる」 がようやく手に入ったので、ご紹介します。
不倫の結果、壊れた家庭と壊した家庭の子供同士が出会います。
その二人が、何を許して何に怒るのかを探っていくという、ハードなストーリーなのですが、読んでいる時の感覚はとても柔らかく、優しいのです。
大人だと本人も思っている人が実は子どものままだったり、納得して受け入れていること自体が許せない子どもや、深い罪悪感を持ちながらそのために何をすればよいのか、わからない大人たち 。
田島さんはその誰にも思い入れすることなく、話は淡々と進みます。
ぎりぎりのところを歩きながら、こんなに安心して身を任せられるのは、出ている人たち皆がそれぞれを思いやる行動を選び、やり過ぎないように控えるところなどがあるためでしょう。とても心地よいです。
それぞれの人物が行動して、それぞれの思いをはかって、田島さんは「そんな風に考えられるのなら、あなたは悪くない」と優しく告げます。
登場人物みんなが魅力的なのですが、個人的に好きなのは、泉谷さん兄妹と、美術部の藤波さん。
「急に何訊くの!?」カー///
「熊沢くん 急にそんなこと訊いたら女子はドキドキするぜーっっ」
「ええ!?」
「穿くなら穿くって言ってください!」
「この国はいつから自由にパンツも穿けねえ国になったんだよっ」
「そういうことじゃないです!!」
直達君のおかあさんもいいです。
「・・・母さん? 大丈夫? 俺のことわかる?」
「第一王子ナオタツ!」
「いつも通りっちゃいつも通りだな」
泉谷さん(妹)の榊さんが元気いっぱいで、とてもよいです。
個人的には、ラストは少し違和感ありでした。
優しい気持ちになりたい時に読んでみましょう。