ノーマークで、発売されて初めて知った吉田秋生さんの「詩歌川百景」と、同じようなシリーズものの番外編である椎名軽穂さんの「君に届け番外編 運命の人」を併せてご紹介します。
「詩歌川百景」吉田秋生
このお話は、泣けるような眩しさでお話の終わった「海街diary」の世界と直接つながっています。
海街diaryの主人公たちの家で、4人目の妹になったすずのお父さんの再婚相手の連れ子だった(説明が大変…)弟の和樹が主人公で、親と別れて一人で暮らすことになった詩歌川温泉での暮らしが描かれます。
厳しいけれどちゃんと受け入れてくれる優しい大人たちと、どこにでもいる相手を理解しようとしない大人たちに囲まれて、自分の生きたい世界を模索する姿を見ると、応援したくなってしまいます。
今のところ、主人公の和樹よりも心配なのは、ヒロインの妙(たえ)です。
しっかりものなのですが、とてもたくさんのことに耐えているように見えて不安です。
ラヴァーズ・キスや海街diaryでもそうでしたが、詩歌川百景でも親と子の相克が扱われます。
実際、自分の経験でも親と理解しあえるまでには随分と時間がかかるように思います。私の子どももそう感じている部分はあるでしょう。
普通にあることなのですが、形にされているのを見ると痛むところもあります。
まあ、吉田秋生さんの描く人たちはとてもやさしくてとても強いので、いろいろなことを乗り越えてもっと素敵な人間になってくれると思います。
海街diaryロスになっていたので、続きがとても楽しみです。
「君に届け番外編 運命の人」椎名軽穂
大人気シリーズの番外編ということでは、「君に届け」の番外編の「運命の人」というお話も昨年発行されています。
こちらは「君に届け」の爽子のライバルだったくるみが主人公です。
爽子を陥れようとしながら、爽子の真っ直ぐさに触れて、ついには自分と同じ立場の風早のファングループの女の子を敵に回してまで、爽子をかばいます。
表面のかわいらしさをかなぐり捨てる孤高の姿には涙が出ました。
その後も終始悪役を貫きながら、爽子に信頼されて無理やり仲良くなられてしまい、困惑しながら受け入れていく様子がとてもかわいらしく、君に届けの中で2番目に好きなキャラクターになってしまいました。
1番目に好きなキャラクター? ぶっちぎりでやのちんです。こちらも孤高ですね。
椎名さんはくるみが幸せになる姿をきちんと見せてくれると思いますので、こちらも続きが楽しみです。