JP Road mirage - Sumomo Toxin / すもも毒素 ネタバレ要素多数につき、お気をつけください

食費より書籍代の高い、重度の活字中毒者です。本やマンガを読んで感じたことをネタバレありで綴っていきます。誰かが本を手に取るきっかけになればうれしいです。

超絶多幸黙示録! 「金剛寺さんは面倒臭い」とよ田みのる

お題「我が家の本棚」

ついに最終巻となってしまった、とよ田みのるさんの「金剛寺さんは面倒臭い」は最後までとんでもない作品でした。

 

正論を正論として押し進めた場合に、どこまで行ってしまうのか。

いろいろ考えるとネガティブな考えになりがちですが、金剛寺さんたちはこれをすべて吹き飛ばしてくれます。

 

前巻で、とよ田さんは「6巻が実質的な最終巻で、次の巻はすべて蛇足です」と仰っていたのですが、確かにその通りでした。まあ、6巻も半分以上蛇足が暴れる話だった気もしますが。

 

蛇足と言いますが、7巻全体は「めでたしめでたし。そして二人は末永く幸せに暮らしました」のあとに、二人はどんな風に幸せになって、どんな風に暮らしていったのかを克明に表してくれるお話です。

ここまできっちりと見せてくれるお話はそうそうないでしょう。

なぜなら、しあわせになってからのお話は、はたから見ると退屈に感じられるケースが多いからです。

 

しかし金剛寺さんたちは、暮らしていく時間すべてを本当に幸せに、強く、楽しんで、前向きに生きていきます。

幸福の絶頂が次から次へと襲い来て、常に前よりも高い幸福がかぶさってくるというポジティブさ。

クレッシェンドに次ぐクレッシェンド。どこまで高まっていくかわからない幸福。

そんな世界が確かにあると信じさせてくれるこのお話は、心の中に深く沁み込んできます。

 

挙句の果てに、このお話のテーマまで高らかに告げてくれます。やっちゃあかんでしょ、創作物でそれは。

でもいいんです、このお話では。

 

このお話を読み終えて、私は高らかに叫びます。

「このお話を読めて、最高に幸せッ!!」

不確定な世界、正しいと思えない世界に疲れている人はぜひこれを読んで、正しい立脚点を自己の中に作ってください。

絶対に幸せになれます。

 

「これ、本当に好きだわ」と私の奥さんは言いました。

理不尽な夫に悩まされている彼女の、心の声が漏れ出たようで戦慄しました。

奥さんも私も「今が一番幸せだね」と言い合っています。

私も、このお話は大好きです。