かなり古い作品ですが、澁澤龍彦さんの「高丘親王航海記」をご紹介します。
なぜ今、この本を読んだかというと、この作品を原作にしたマンガを近藤ようこさんが描いており、今月出版されるのですが、紹介されている数ページを見たらとてもおもしろそうだったからです。
そのページを見て、この作品はマンガを読む前に原作を読んでおかないと後悔するやつだと感じたので、あわてて原作を買って読み終えました。
うーむ、さすがの澁澤龍彦だ。
歴史小説かというとそうではなく、めちゃくちゃな話かと思うとそうでもなく、いや、けっこうめちゃくちゃな話かもしれず、読んでいるうちにだんだん自分のいる位置が曖昧になってきます。
オオアリクイや迦陵頻伽、獏に犬頭人、時代の異なるコロンブスにマルコ・ ポーロ、蜜人などが現れては消え、描かれている内容が夢の中のことなのか、現実のことなのかもわからなくなっていきます。
秋丸と春丸の関係やジュゴンにラフレシア、魔の海域で現れる幽霊船のごときもの。
出てくる女性が次第に混ざり合い、誰が誰だかわからなくなってきて、とても不安で居心地のよい世界を漂うことになります。
いや、これはマンガを見る前に読めてよかった。
マンガ版も買うつもりです。それもそれでとても愉しみです。