何だかSF業界がざわざわしているので、震源であるシオドラ・ゴスさんの「メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち」を買ってみました。
読んでみたら評判を聞いて思っていた以上に面白いお話でした。
タイトルの通り、主人公はメアリ・ジキルです。メアリは「ジキル博士とハイド氏」のジキル博士の娘です。
英語タイトルが「The Strange Case of the Alchemists Daughter」なので、本来なら「錬金術師の娘の奇妙な事件」とでも訳すのでしょうが、せめてもう少し売れ筋のタイトルにしようという出版社の苦労が偲ばれます。
主な登場人物を挙げてみましょう。
メアリ・ジキル
ダイアナ・ハイド
ベアトリーチェ・ラバチーニ
キャサリン・モロー
ジュスティーヌ・フランケンシュタイン
ネタバレが嫌なので細かい紹介はしませんが、ゴシック・ホラー好きならよだれが出てくるメンバーです。
よだれを垂らしながら読んでいると、いちばん気になっている登場人物が出てきました。シャーロック・ホームズとワトソン博士です。
ホームズとワトソンを出す作品は多いのですが、扱いにがっかりすることが多いので、南洋一郎世代としては慎重に読み進めました。
個人的には、なかなか地に足のついた、いい扱いだと思います。
ホームズものではカンバーバッチもいい解釈でしたね。
家政婦のミセス・プールがとてもいい味を出しています。
情け容赦なく、現実的で、そしてやさしい、我が家にも一人欲しい人材です。
それぞれ異様な出自を持つ娘たちは、その出生、生い立ちにとてつもなく暗い陰を背負いながら、彼女らなりにそれを受け入れ、生きたいように生きようとしています。
その姿はそれぞれの原作小説を背負って恥じることのない強さと魅力を感じさせてくれます。
誤解を恐れずに言うならば、ゴシック・ホラー版の「うる星やつら」と思えば、大きく外れてはいないと思います。
今回初訳のこの作品ですが、このシリーズはすでに3作品が上梓されています。
このお話に続く「モンスター娘のヨーロッパ旅行」と「イケてる彼女のヤバい秘密」は、このお話が受けないと翻訳されないかもしれないので、皆さま、ぜひぜひ買ってみてください。ちょっと高価なのが気になりますが。
彼女たちがこれからどこへ行き、何をするのかが気になってたまりません。
ビューティフルドリーマーの評価が高いですが、地球人外連合の総力戦の面白さはオンリーユーが最高です。