日中、どこに行ってもまんべんなく暑くて、身体に熱気がまとわりつく今日は、夜10時を過ぎてもトイレの温度計が33℃で、とても夏です。
そんな気力をそがれる日にご紹介したいのが、心を不安定にしてくれるくずしろさんの「永世乙女の戦い方」 です。
くずしろさんは、清少納言さんが主役の「姫のためなら死ねる」で出会いました。まあ、あり得ないと思われる清少納言の言動ですが、定子さま大好きなところや紫式部との確執(というほどきつくなく、ゆるぐだですが)などはこんな感じだったかもと思ってしまい、続きを楽しみにしています。
あの雰囲気を期待して読み始めたこの「永世乙女の戦い方」ですが、ギスギスしてます。切れやすくて、攻撃的な人ばかり出てきます。
荒れ狂っている世界の中で、自分のしたいようにもがく女性たちは、ドン引きしますが魅力的でもあります。
将棋のマンガと言えば、「月下の棋士」や「3月のライオン」がありますが、どれにもちょっと独特な人たちが大勢出てきます。
実際にNHKで将棋の対戦を見ている限りでは、そんなに変わった人はいないように見えます。
生命を削って将棋をした人も実際にいたので、そういうこともあるのでしょうが、基本的には羽生さんや一二三さんのように、長く生きて現役を続ける人の方が生涯成績は絶対によくなります。
主人公のあこがれの女流棋士は、まさに生命を削って将棋をしていきます。立場は3月のライオンの二海堂君と同じで、ほかの人のような楽しみをすべて諦めて、唯一自分ができる将棋にしがみついています。
主人公の香(こう)さんは、普通に健康で、あまりものを考えないタイプで、自分のことしか考えずに将棋をやっています。
そんな彼女が周りの人間を変えていく様子は見ていてわくわくします。
「でも 『わからないこと』が『わかった』から。
もう初音ちゃんは怖くないんだ。」
「いや、香はバカだから、ちょっとしたことで変われちゃうんだ。」
ほんとうに将棋が強くなるのは、田中相さんの「まばたきはそれから」に出てくる城間君のようなタイプだと思います。
単行本のおまけの「城間クンのドキドキ対局日誌」は3月のライオンに出てきたのと同じような境地が描かれていて、極度に集中している時の感覚がよく出ていると思いました。
香ちゃんの成長が楽しみです。