人工知能、今はAIの方が通りがいいでしょうか、これが実世界で使われ始めています。人工知能はこれからの世界を大きく変えていく技術ですが、今回のコロナウィルスの騒ぎで、人々の意識や世界との関わり方が、AIが本格的に動き始めてから変容するそれに近づいた気がします。
AI本格始動の背景
ディープラーニング、ビッグデータと量子コンピュータが実用化され、AIが本格的に動き始めるべースができてきました。
ディープラーニングは、機械学習手法のひとつで、人間の神経節に似せた多層の人工ニューラるネットワークを使ってより正しいと考えられる解を得る方法論を学ばせる手法です。これは囲碁や将棋などでプロ棋士に勝利したことで有名になっています。
ビッグデータは、IoTによって人手では集められない大量データをリアルタイムで収集できるようになってきて、本格的な活用ができる体制になりました。
量子コンピュータは、最適化計算に特化した量子アニーリングにより、一部が実現しましたが、主流になるとみられる量子ビット型の量子コンピュータは、ノイマン型よりも遅い速度でしか解を得られませんでしたが、2019年にIBMとGoogleが相次いで実用化に成功したという発表をしました。
AIとしての機能を満たす周辺環境が整ってきたことで、AIが次のステップに進む道が見えてきたのかもしれません。
AIとは
AIは、 ノイマン型のコンピュータではできなかった、人間が意識することなく行っている、一見して因果がつかめない事実から判断を導き出すことを目標としています。
人間ははっきりとした理由なく行動を決めているように見えますが、実は複雑な状況をすべて考慮したうえで判断を決定しています。
それを疑似的に実現するための手段がAIです。
AI後に起こること
AIに関しては、おもしろいことに現在の識者のトップの中で、多くの人々が否定的な意見を持っていることです。
ホーキング博士も、ビル・ゲイツも、イーロンマスクもAIに否定的な意見を公表しています。
すでに起きているAIによるナチス礼賛や腐女子化など、AIの実用化界隈ではとても興味深い現象が起きています。
AIが人間の神経系を模して、事象と結果の因果をつかんだように見えても、それは人間の判断とは似て非なるものです。
その判断の後ろに哲学や思想がなければ、原子力発電で人類が犯したのと同じ過ちが、AIの未来にも見えてくるでしょう。
けっきょくAIとは何なのか
AIは人間の行っている知的作業、大量データの解析や判断を肩代わりして、人間の負荷を減らしてくれるものでなければなりませんが、そちらの方へ行ってくれるとも思えません。
AIは、AIをコントロールしようとしている人々の 思惑によって方向性を決められるでしょう。
「いいも悪いもリモコン次第」です。鉄人28号が夜の街で咆哮していた昭和の時代に人々の心の中にあった希望と不安は、令和になっても変わらずにあります。
AIが人類のコントロールを失う前に、我々はリモコンを手に入れて、正しい道へと歩みを進めることができるでしょうか。
AIを描いた読み物
SFでは、コンピュータが実用化される前から人工知能について現在よりすぐれた議論が行われてきています。私が畏れながらも人工知能を待ち望んでいるのは、これらの本によるものです。とりあえず、思い出したものだけご紹介します。
地球から独立しようとする植民地の月世界を、助けてくれたのはAIでした。 1965年に書かれたこの作品のAIであるマイクは何とも魅力的です。
サイバーパンクの代表的作品である本書では、電脳ネットワークへのジャックイン機能を奪われたコンピューター・カウボーイのケイスが、正体不明の男に依頼されて始めた仕事で、口輪をかまされているAIを電脳ネットワークに開放することになります。
「そら見ろ、肉だ」ジャックインできないケイスの、あきらめの言葉です。
ストリート・サムライのモリイはとんでもなくクールです。現在より少し先の未来にありそうなこのお話の舞台は、少し寂しくて、どこかで見た街角を思い出させてくれます。
コンピュータと仏教がシームレスに融合する少女マンガです。読んでいただければわかりますが、とてもよく編み上げられていて、4巻目を読み終わるのがつらくてなりませんでした。
魔のルシャナはAIと融合して無限の力を得て、神と魔の戦いに参戦します。
「よくよく見れば
それはまさしく
この宇宙…
この宇宙の本質の
ある側面だ」
「略図? むしろパロディーだ
それともだまし絵かな
せまいオリの中から
のぞき見た真実
人間は妙なモノをつくったねえ アシュバ
いったい何をつくったか
わかっているのかね」
電脳世界を評して、ルシャナが言った言葉です。