今週のお題「夏うた」
窓を開けても閉めても、まったく暑さの変わらない一日。
とても過剰な夏です。
エアコンを効かせていないところに長時間いると命がなくなりそうなので、一日のほとんどを整えられた空間の中で過ごしています。
いちばん好きな季節が夏なのですが、この暑さ、何もできないだるい時間も夏の醍醐味です。
暑い中、ベージュに乾ききった土の道を歩いてプールに向かう時間と、泳ぎ終わって家に帰ってきて、ぐったりしてだらけていても、何のそしりも受けなくて済む時間。
夜になれば暑さの残る中、街灯に集まるカブトムシやクワガタムシを探して歩き回り、少しは熱気の引いた夜風に吹かれながら眠りにつく夏が好きでした。
夏の音楽と言えば、ラジオ体操の歌ですね。
新しい朝が来た 希望の朝だ
夏の一日の始まりを告げる歌でした。
ラジオ体操をしながらその日に何をやるかを考え、そこに来ている友だちとプールに行く約束をしたり、帰省する日の情報を交換したり、夏の日のさまざまなプランニングを行います。
夏休みは無限に続くように思え、時間をどれほど浪費しても全く気にならなかった時間が、今も私を夏を好きでいさせています。
人の出歩かない、圧力を持って降ってくる太陽の光を受けながら歩く真昼。
昼間とは打って変わった濃い闇の中、遠く見える街灯に向かう夜。
昼間の終わりにしばしば訪れる激しい夕立と、光が去っていく中で哀しげに重奏するヒグラシの声が響く夕方。
夏は昼も夜もたくさんの秘密を抱えて、私を魅惑します。
そしてその始まりはいつもラジオ体操の歌でした。