「誰かさんのうしろにヘビがいる」というわらべ唄をご存知でしょうか。
「ことしの牡丹はよい牡丹~」から始まって、オニとほかの子どもたちが掛けあいながらオニを仲間の輪の中に迎え入れ、オニが帰ろうとすると、
「誰かさんのうしろにヘビがいる」とはやし立てます。
オニが「あたし?」と訊くと、子どもたちは「ちがうちがう」と応えます。
「誰かさんのうしろにヘビがいる」
「あたし?」
「ちがうちがう」
「誰かさんのうしろにヘビがいる」
「あたし?」
「そう!」
とたんにオニは振り向いて、子どもたちを追いかけ始めます。子どもたちは鬼に捕まらないように、必死で逃げまどいます。
ことしのぼたん|リズム遊び・劇・歌|誕生会|高階幼稚園@川越市・ふじみ野市
これは前段取りのついた鬼ごっこなのですが、初めに異人を受け入れて、仲間になったはずの者が、ふとしたきっかけで 鬼になってしまうのです。
もちろん、よく顔を知っている友だちなのですが、それでも後ろから追いかけてくるのはヘビに姿を変えた何かなのです。
この時の恐怖はなかなか捨て去ることができません。
夜遅くなって家路をたどる時、暗い道で前を歩いている人を見かけると、ふと「だれかさんのうしろにヘビがいる」 と呟いてしまいそうになります。
絶対にそんなことをしてはいけません。
きっと前を行くものが何かに姿を変えて、私を追いかけて来てしまうからです。
逃げ切れなければ、今度は私がオニになってしまうのです。