初めて読んだ池辺葵さんの作品が「ねえ、ママ」です。
とてもきつい一冊でした。
ゆるくつながった6人のおかあさんの話で構成されており、やさしいお話ばかりです。
こんなこともあるよね、こんな時もあるよねと淡々とした話が続いていきますが、読み進めていくと、だんだん胸が詰まっていきます。
孤児院に住んでいる女の子の、
「どうかヤニクにおだやかな人生を」
で胸を突かれ、しばらく読み続けることができませんでした。
池辺葵さんのお話は、どれもこれもひょうひょうとした人たちが、淡々とした日常を生きていく姿が描かれています。
そしてどれも、とてもやさしいのです。残酷なくらいに。
のほほんと生きているように見える女学生たちが、どれほど多くのものを乗り越えているかを見せてくれて泣きそうになります。
一人で家を買うことに対して、正面から対峙しているお話です。
出ている人がみんな愛おしくなって、幸せになってほしいと心から願ってしまいます。