今週のお題「デスクまわり」
私には弟がいます。
兄弟というのは厄介なもので、どちらの立場でもお互いのほうが優遇されていると思うものです。
その一事例として、子どものころに学習机問題がありました。
私も学習机を買ってもらったのですが、本当に机だけのシンプルなものでした。
そのあとの時代、親が子どもの教育にお金をかけるようになったことに気づいた家具業界が、やたらと学習机の装備をリッチにしてきたのです。
私の机には引き出しがついているだけで、デスクライトも鉛筆削りも本棚も別に買って載せていたのですが、弟の買ってもらった学習机は違いました。
本棚もデスクライトも鉛筆削りも標準で組み込まれていて、おしゃれな感じで鉛筆立てや何かよくわからない小物置きスペースなども装備されており、骨格もフルカバードされて一体感のある仕上がりで、部屋に置かれた様子が要塞のようでした。
眩しい…
…圧倒的な敗北感!
ほんの数年の差で、これほどまでに世界が変わってしまうとは!
それでも、その差を少しでも埋めようと「デスク最強化計画」を発令しました。
必要な文房具すべてと明らかに要らない特殊な文具を引き出しに完璧に配置し、ノート、教科書類をブックエンドに並べました。
これで完璧。
私の作業環境は最適化された。
満足感を得て、少し離れて眺めてみると、ふつう。
圧倒的にふつう。
隣に並んでいる弟のデスクに比べて、普通以下にしか見えない…
さすがに親に机の買い替えをねだれるほどの度胸はなかったので、その地味な机を愛して学生時代を送りました。
それはそれで悪くなかった気がします。
しかし、その反動で、結婚して一家を構えた時に、最初に買ったのは豪華なデスクでした。
バブルのころにビクターが出していたけっこうお高めのデスクを、奥さんを言葉巧みに口説き落として購入しました。
いろいろな装備はついていませんが、高級感は圧倒的で、ちゃんと深い満足感は得られました。
ずっとそのデスクを愛用していますが、いまだにまったく飽きが来ません。
ちゃんと満足感を得られています。
教訓一.十分に吟味して手に入れたいいものは、一生続く満足感を与えてくれる
教訓二.子どもの時の不満足感は一生たたる
万年筆などの文具も高級品を揃えてきましたが、いつの間にか時代はデジタルです。
情報システム関係の仕事をしてきた立場から、デスク周りのデジタル化は人よりかなり早く、その結果集めてきた文具は無用の長物と化してしまいました。
ほとんど使わなくなった文具をたまに愛でたりして、何となく釈然としないものを感じている今日この頃です。