今週のお題「夏の思い出」
夏はいちばん好きな季節です。
でも、ここに「以前は」とつけなければならなくなってしまうようで、ちょっと忸怩(じくじ)としています。
その原因は、いわずと知れた近年の異常な暑さです。
「子供のころは」なんて前置きをしなくても、20年前、うちのあたりは7月から8月を通して、夜にエアコンをつけなければ寝られない日は3日くらいしかありませんでした。
今は、夜にエアコンをつけていないと生命の危機を感じる日しかありません。さらに今年は、6月、9月もそうでした。
20年前は、お盆を過ぎると、夜に窓を開けていると肌寒いくらいだったのですが。
今年の夏は、北海道や東北でも35℃を超える日が続いたりしていました。
もう高原にでも住まないと、エアコンなしの生活は不可能になってきています。
高原は夏はいいけど、冬がとても暮らしにくいんですよね…
冷え切って冴えた冬の朝は、嫌いではないんですが。
それでも、私は夏がいちばん好きです。
青い空と透明感のない真っ白な雲のコントラスト。
道の向こうに立ち上る陽炎。
乾ききって薄茶色の道に落ちるセピア色の木の影。
遠くは空との区別がつかないのに、青と緑のグラデーションを経て、白い波が打ち寄せる海。
圧倒的なセミの声の下で、音もなく流れる冷たい谷川の水。
井戸水で冷えたスイカに粒が光る熱いトウモロコシ。
早朝の朝顔。
遊んでいるうちにいつの間にか聳え立つ入道雲。
熱気をすべて吹き飛ばす夕立。
闇の中を漂う蚊取り線香の煙。
夏祭り。
綿菓子。
たこ焼き。
冷えたラムネの噴き出す泡。
もいでそのままかぶりつくトマトやキュウリ。
夜の田んぼにこだまする重合するカエルの声。
いくら遊んでも昼は終わらず、夜は熱気をはらんだ空気の中に誘いかける何かがいるよう。
思えば私は、幸福な夏を過ごしてきたようです。
今年の夏は、庭に設置した温度計が40℃を越える日が幾日もあり、30℃を割らない夜がずっと続いていました。
外に出ないようにという熱中症警報が毎日出て、何年も夏祭りにも行けていません。
フラフラと気軽に外に出てゆけるような夏がまた来てくれるといいのですが。