夜が長くなり、人恋しくなる10月は読書に最適な季節です。
こんな10月にぴったりの、レイ・ブラッドベリの「10月はたそがれの国」をご紹介します。
ブラッドベリは2012年に91歳で亡くなるまで、数々の幻想的な作品を遺してくれました。
長編の「華氏451度」、「火星年代記」、「何かが道をやってくる」もよいのですが、「10月はたそがれの国」、「ウは宇宙船のウ」、「スは宇宙(スペース)のス」などの短編集は、読み進むにつれて、日常だったはずの世界が反転する感覚を積み重ねて、読み終わった時に目を上げて外の暗闇を見た時に、あるはずのないものが見えてくる感覚を味わえます。
まずは序文から。
お気に入りのお話と、感想をいくつか。
骨
けっきょく幸せなのか不幸なのかが最後まで分かりません。
みずうみ
永遠というものがあるとすれば、それをとてもとても大事にしなければなりません。
群衆
これは時々考えてしまい、すぐに忘れようと頭を振っておしまいにします。
大鎌
こういう場所はあります、絶対に。
風
「抱かれてしまえば樹氷は優しい」というのはウォッカのコマーシャルでしたか。どこまで行こうと行く果てもなし。
二階の下宿人
こういう解釈なのね。ああ、確かにこれもありかも。
短編集だから、とりあえず読み始めても適当なところで打ち切ることもできます。
この中にいくつか、きっとあなたの心に深く食い込む話があるはずです。
少女漫画家の萩尾望都さんも、ブラッドベリの 短編のいくつかをマンガ化しています。
透明感のある萩尾望都さんの世界とブラッドベリの澄み切った空気に包まれた世界が融合して、えもいわれぬ空気を醸し出しています。
萩尾さん本人もブラッドベリのファンということで、各話とも丁寧に仕上げられているので、手軽にブラッドベリを味わいたいのならお勧めです。
個人的に、いちばんお気に入りなのは「霧笛」と「みずうみ」です。