JP Road mirage - Sumomo Toxin / すもも毒素 ネタバレ要素多数につき、お気をつけください

食費より書籍代の高い、重度の活字中毒者です。本やマンガを読んで感じたことをネタバレありで綴っていきます。誰かが本を手に取るきっかけになればうれしいです。

異教の祭りを軽やかに取り込む風景は、チョコレート色で日本を染め上げます

今週のお題「チョコレート」

 

製菓会社の販促企画により、恵方巻のようにまんまと日本社会に定着したイベントが、きょうのバレンタインデーです。

祝う根拠がないのに、こういうイベントが盛り上がるのはいかにも日本人らしいです。

 

宗教系のイベントでも、表で大騒ぎするのはその宗教に関係のない人たちばかりです。

クリスマスがいい例ですね。

クリスチャンは聖なる日を家族と家で過ごすため、自宅で静かに過ごします。

渋谷で大騒ぎをしている人たちは、「キリストって本当にいたの?」などという不信心者ばかりです。

 

キリスト教国でもバレンタインデーの扱いは微妙で、本来は異教の祭りを禁止しきれなかったため、キリスト教の祭りとして換骨奪胎しました。

しかし現在は聖バレンタインは聖人から外されており、バレンタインデーは本来の異教の祭りとしての色合いを強くしています。

 

デパートでもスーパーでも小さなお店でも、バレンタインデーに向けて、さまざまなチョコレート菓子が積み上げられています。

女性たちがうれしそうにあれでもない、これでもないと選んでいるのは、色味のない寒々とした2月を華やかに彩ってくれるので、いやな風景ではありません。

自分とは関係のない景色でも、心が浮き立ちます。

 

異教の祭りでも簡単に取り込んで、季節の風物詩にしてしまうのは日本人のとてもよい特性でしょう。

 

そして我が家でも、美しい風物詩は維持されます。

「はい、チョコレート。いちおう定例行事だから渡すね。あと、ザッハトルテも作ったから二人でいただきましょう」

「はい、毎度ありがとうございます。大事にいただきます」

いい日ですね。うれしいです。