ツイッターでマンガの作画法についてのとても深い解釈を見つけました。
少女漫画はあなたしか見えない状態のときは背景は白くていいんだ。見えてないんだから。
— サノマリナ|元編集者の漫画描き (@Marina_fumetti) 2020年10月16日
逆に背景入ってるときは主人公は正気だ。
「少女マンガは画面が白い。すなわち手抜きが多い。背景が描けない」というようなことを言う人がいます。
そういわれてみれば、確かに白い画面が多く見られます。
特に大ゴマで、主人公と相手役のアップで背景が入っていないケースが多いのですが、私にはそのページが手抜きとも思えず、とても良い効果を出してくれているように感じていたので、
「いや、これは効果だろ」と言いながら、何のどんな効果なのかを説明できず、歯がゆい思いをしていました。
この「あなたしか見えないから白くていい」解釈は、とても深い真実をついています。
ほんとうに夢中になってしまった時には、周りの人や、風景や、音などはすべて遠ざかっていき、相手と自分だけの世界、「ザ・ワールド」が展開されます。
その経験からすれば、少女マンガの画面の白さはむしろ現実の感覚をリアルに再現しているといえます。
背景が少ないのは周りにあまり興味が持てないヵら。
二人きりの世界に入ったら、どれほどイチャコラしても周りが気にならない。
花が飛ぶのはセルフ・イメージでは本当に飛んでるから。
少年マンガに比べて、少女マンガの精神性が高いように感じられるのは、主観のリードする世界の中で、どっぷりと自分の精神の中に浸かりきった世界を表現しているからなのですね。
これは、「ゾーン」と言われる状態です。
その時、主人公は誰にも負けません。相手のすべてが見えて、そのすべてを受け入れているのです。
少年マンガでも、このゾーンをうまく表現しているものがあります。
最終巻の山王-湘北戦のラストで、途中から言葉も音もないページが20ページ以上にわたって続きます。
これを読んだ時は、ほんとうに身体が震えました。
井上さんは、これで表現がどこまでも深く、広く追及していけるということがわかったのでしょう。
「バガボンド」では「のたあーん」などで、剣術の世界で通常の世界の少し先にある境地を見せてくれています。
「バガボンド」も「リアル」も最近いっこうに描いてくれませんが、 また逢える日を楽しみにしています。