お気に入りの店を見つけるのには、いろいろなお店に入ってみる好奇心が大切です。
いろいろなお店に入りまくって、いろいろな料理を食べまくってみないと見つかりません。
なかなか井之頭五郎さんのように、入る店入る店掘り出し物というわけにはいきません。いや、五郎さんも外れの店に入っている回もあったっけ。
若いころは多少残念な思いをしても次にトライする気概があったのですが、ある時期から残念な思いをするくらいならコンビニ弁当を食べたほうがましだという精神状態が支配的になり、新しいお店の開拓ができなくなってしまいました。
子どもが大学に行った時に訪れるようになった桐生で、学生がよく行く食堂として紹介されたのが「台湾料理 彩華」です。
台湾料理彩華(地図/桐生・みどり市/台湾料理) - ぐるなび
訪れた時は、学生が来られるような店か、と思ってあなどっていました。
定食も千円前後のリーズナブルさだったので、私はエビチリ定食を頼みました。家族もそれぞれ注文して、中華風の室内装飾について話をしたりしているうちに頼んだ定食が来ました。
「こ、これは!」
来た定食を見て、グルメ漫画のような驚きの声を発してしまいました。
まあ、量の多さに驚いたのですが。
ふつう、メニューの写真より若干少なめかなと感じることが多いのですが、ここのはメニューの写真よりボリューム感がありました。
定食にはラーメンがついてくるのですが、ハーフを想像していたらフルサイズのラーメンがきてしまいました。
これ以外に、ご飯とメインの中華一品、握ったこぶしよりも大きい唐揚げ二つと杏仁豆腐が載っています。
「さすがに量が多いな。学生が喜んでくるだけのことはある」
気を取り直して、のびると嫌なのでまずはラーメンを食べてみました。
「こ、これは!」
ラーメンはそれほど大きく外れることはないのですが、ここの醤油ラーメンは、昔新潟県魚沼で食べたラーメンの味に近いものでした。
透明感のあるスープで、後味がとてもよく、麺にもよくからみます。
とにかくスープがおいしく、残さず飲んでしまいました。
そこではっと気が付いたのですが、定食の本筋の部分が手つかずで残っています。
まずはエビチリにはしを伸ばして、
「う、うまい!」
ご飯が進んでしまいます。
この状況で、唐揚げ二つはきつそうです。
器には塩が盛ってあり、それをつけて食べてみます。
「! はうう…」
おいしいんです。揚げ物なのに、パリっと揚がっていて、サクサクと食べられてしまいます。大1の唐揚げはあっという間に胃の中に消えました。
この時点でまだエビチリが6割、唐揚げが1個残っています。
身体は静かに摂取中止を訴えてきますが、まあ止まりません。
子どもに持ち帰りもできると聞いて、唐揚げ1個は持ち帰ることにしましたが、杏仁豆腐まで完食しました。
会計の時に、思わず「おいしかったです。ごちそうさま」と言ったら、「よかったです」とにっこりされました。
帰途につきましたが、ブレーキを踏むたびに胃の中の匂いがせりあがってきます。
そして、その匂いがとてもおいしそうなのです。
「苦しい… けどおいしい...」
奥さんと長男は、苦しすぎるということで途中でよったコンビニで胃腸薬を買って飲んでいました。
私はこの香りをもうしばらく楽しんでいたいと、薬を飲むのを拒否しました。
しばらくすればおさまるだろうと思ったのですが、2時間近くかけて家に帰っても、お腹の中はいっぱいのままでした。
それからしばらく、子どものところを訪れるたびに彩華を訪れ、エビマヨ定食、カシューナッツと鶏肉の炒め物、天津飯など、いろいろなものを食べました。
私は麺はずっとあの味が忘れられず、醤油ラーメンを頼みましたが、奥さんは台湾ラーメンがおいしかったらしく、いつも台湾ラーメンを頼みました。
一時期、味が落ちたなと感じたことがありましたが、その後に行った時には前の味に戻っていたので安心したりしながら何度も通いました。
子どもが桐生を離れてしまったので、今は行く機会もなくなってしまいました。
気軽に食べに行くのは少し遠いお店。時々、無性にまた食べたくなります。
コロナがもう少し落ち着いたら、久しぶりに訪れてみたいです。