今回ご紹介するのは、恒川光太郎さんの「スタープレイヤー」「ヘブンメイカー」です。二つ並べているのは、同じ世界のお話だからです。
恒川光太郎さんの「夜市」は、子どものころに行った祭りの夜に感じた、この連なる灯りの向こうに行ってしまったら、ひょっとしたら帰ってこられなくなるのではないかという感じ、あの少し怖い感覚を呼び覚ましてくれるお話でした。
「夜市」に入っているもう一つの「風の古道」は、いつも歩いている隣にある、ふだんは通れない道に入ってしまうお話です。いつもの道はあちらに見えているのに、出口がわからなくなって戻れなくなってしまい、そこでいろいろな事件に遭遇します。
どちらも今いる世界からちょっとだけずれた世界に迷い込んでしまうお話です。
今回読んだ「スタープレイヤー」「ヘブンメイカー」もそんなお話です。
結論から言うと、私はこのお話に熱中できませんでした。
絶対者の存在がちらつかされる話を私はあまり好きでないのです。
お話というのは、ドキュメンタリーだったとしても絵空事です。
作者の頭の中で集められ、捏ね上げられ、まとめられてお話になるものですが、最初から「これは絵空事です」と宣言されると、どうしても熱中できなくなってしまうのです。
宮部みゆきさんもこのようなお話を書いていますが、そちらもダメでした。
ものすごく微妙な差ではあるのですが、お話はお話として作ってもらいたいと思ってしまうのです。
また夜市のようなお話が読みたいです。
ネットで見かけた台湾の夜市はとても素敵でした。
いつか行ってみたいものです。