今週のお題「2020年上半期」
今年の上半期はコロナウィルスで散々でしたが、下半期にも不穏なうわさが出ていてワクワクしています。
岩手の農家たちが口を揃えて『今年は冷夏になる』と言っているらしい「農家の経験則と専門家の予測が正反対なのも怖い」 - Togetter
現代科学の専門家と現役農家が真っ向から対立するってなかなかないですね。宮沢賢治が肥料学で失敗しまくった過去が思い出されます。
2020/07/25 12:33
7月に入るころに、2020年は猛暑になるという話が出ていたのでうんざりしていたんですが、気候と共存して生きている農家の方々からは正反対の意見が出てきているようです。
このまとめで挙げられているのは、岩手で冷夏になる年の条件として、
- この時期まで本格的な山背がしつこく居座っている
- 7月までに台風が10個以上発生していない
- 百舌鳥(モズ)が渡っていかず、未だに鳴いている
- 笹の花が咲いている
のような内容が挙げられています。
これは取り上げる意味がある風説なのでしょうか。それとも単なる迷信なのでしょうか。
山背が去らない、百舌鳥(モズ)が渡らない
この時期まで本格的な山背がしつこく居座っているというのと、渡り鳥であるモズの鳴き声が未だに聞こえているというのは、不穏な雰囲気を盛り上げるのにふさわしく、とてもワクワクします。
でもこれは、原因でなく結果なんです。
梅雨が長引いているせいで日照不足が続き、水温、気温が低くなっているから、山背もモズも居続けているのです。
因果としては成立するのですが、これが冷夏を予告しているわけではありません。
台風が少ない
7月までに台風が10個以上発生していないのは冷害になる年の特徴だということですが、台風が大量発生した年も梅雨が長引いて気温、水温が上がらず、冷害になるケースもあります。
岩手県の場合は、西の地方に比べてもともと台風の影響は大きくないので、これを冷害の前兆と捉えるのは難しいかもしれません。
笹の花が咲いている
個人的にはこれがいちばんの大好物です。もうワクワクが止まりません。
笹の花は60年以上のサイクルでしか咲かないので、悪いことの起こる先触れであると考えられることが多いです。
ほうき星や日食なども凶兆とされることが多いですが、統計的に有意なつながりは出ていません。
パゴスとか出て来てくれるかもしれないので、笹の花の霊験を信じてみたい気もあります。あれはサザメダケでしたが。
けっきょくどうなの
先祖代々その地域で暮らしてきて、山の様子や海の様子を朝晩毎日見て研ぎ澄まされてきたものは帰納法による経験則です。迷信だけで片付けられる予断ではありません。
帰納法で導かれる結論は、明確な関連のある根拠を提示することはできません。
それに対して、気象予報は地球規模の空気の流れや温度を基にして、理論的に起こることを予想する演繹的な考え方で行われる予測です。
昔よりはるかに天気予報、気候予測の精度はあがってきていますが、演繹の根拠となる情報がまだまだ網羅できていないので、大きく外すこともあります。
今回の意見が真っ二つに分かれたことが私たちに与えてくれるものは、気候予測の精度を向上させる新しい条件が見つかる可能性です。
帰納的に考えると冷夏であり、演繹的に考えると猛暑だという推論が出たわけです。
正しかった方が何らかの正しい判断条件を考慮に入れているわけです。
その正しい判断条件を取り入れることができれば、農家の人も気象予報士も、新たな知見を得ることができるわけで、これが気象予測を科学的に進展させることができるのです。