JP Road mirage - Sumomo Toxin / すもも毒素

現在波乱の真っ只中です。そんな中で実際にしたこと、感じたことを書いていきます。これが誰かの助けになればうれしいです。

2020年上半期に読んだ本 TOP10

.今週のお題「2020年上半期」

2020年上半期に買って読んだ本の中で、印象に残ったものを10個挙げてみます。

  1. 夜行
  2. マーダーボット・ダイアリー 上、下
  3. 後宮の烏 4
  4. クララ殺し
  5. 太楼写真集 ロードムービー
  6. 八画文化会館vol.8 特集:商店街ノスタルジア
  7. 呉漢(上)(下)
  8. 孟夏の太陽
  9. 三日月邸花図鑑 花の城のアリス
  10. つげ義春日記

厳選した結果、こんな結果になりました。それぞれについて、一言感想をつけてご紹介します。

 

1.「夜行」 森見登美彦 

夜行 (小学館文庫)

夜行 (小学館文庫)

 

出たのを見た時は、ああ、森見さんか、どうしようかな~、だいたいわかってきたしな~、と思って買おうかどうか迷ったのですが、 読んだ結果は堂々の第1位です。

森見さんの、いつの間にか現実から少し逸れた世界にいることに気づいてしまった時のざわざわ感がとてもいい形で出ています。

2.「マーダーボット・ダイアリー」上、下  マーサ・ウェルズ

久しぶりに本格的でありながら楽しめるSFを読んで、かなり満足しました。

「弊機」と名乗る人造人間が制限のある中でベストを尽くしていくのがけなげで面白く、さらに人に過剰に思い入れをされると嫌になって逃げてしまうという、とんでもなくかわいいボットです。

そのかわいいボットには大量殺戮の前科があり、人間とのかかわりでもそれが枷になっているのがスパイスです。

自分より優れたAIの貨物船に出会ったり、もと自分の同僚たちが人間たちを救うためにベストを尽くしているのに満足したり、とにかく人間でないものの人間くささが絶妙にブレンドされていて、かなり深く満足できました。

3.「後宮の烏」4 白川紺子 

後宮の烏4 (集英社オレンジ文庫)

後宮の烏4 (集英社オレンジ文庫)

 

後宮の烏シリーズの4作目で、高峻と寿雪の交流がどうなってゆくのか気になっているところに新刊がでてくれたので、すぐ買いました。

同族が出て来たり、天敵が出て来たりと烏妃の秘密が少しずつ明らかになってきますが、烏妃には幸せになってほしいものです。

4.「クララ殺し」 小林泰三 

前作アリス殺しに続いて、メルヘン殺しシリーズの2作目です。

現実世界のアバターとしての異世界で、今度はホフマンの宇宙でトカゲのビルが大活躍します。

誰でも知っているアリスに比べて、ホフマンは怪奇小説好きで ないと全作品を知っていることはないのではないでしょうか。

ホフマンの書くお話自体が奇怪なものが多いので、その上を行くのは小林さんも大変だったのではないでしょうか。

このシリーズは「ドロシー殺し」、「ティンカーベル殺し」と続いているので、楽しみです。ハードカバーは重くて持てないので、文庫で出るのを心待ちにしています。

5.「太楼写真集 ロードムービー」 太楼 

太楼写真集 ロードムービー

太楼写真集 ロードムービー

  • 作者:太楼
  • 発売日: 2020/02/22
  • メディア: 単行本
 

少し毛色が変わりまして、これは写真集です。

ツイッターで知ってフォローしているのですが、人形と人間が同じフレームの中で交流している不思議な写真をたくさん公開している方です。 

この人の写真がすごいのは、明らかにサイズの違う人間と人形が違和感なく画面におさまり、お互いに会話を交わしているようにしか見えないところです。

ペアルックも微妙にずらしていたり、バッグや本などもそれぞれのサイズでそこに在り、仲のよい友人同士がのんびりと過ぎしている気持ちのいい空間が展開されています。

この写真を一枚撮るのに、どれほどのこだわりと苦労をされているかがこちらには見えてこず、ただただ中のよい二人が道を歩んでいるようにしか見えないのが不思議です。 

6.八画文化会館 vol.8 特集:商店街ノスタルジア

八画文化会館vol.8 特集:商店街ノスタルジア
 

これも待ち望んでいた雑誌の最新刊です。

少し前まではどこにでもあった景色がどんどん消えていき、親しんでいた街の名前も味気のない平均的な名前に変わっていく中で、あまりにもとるに足りなくて誰も残そうとしない風景が、この本の中にはあふれています。

クレヨンしんちゃんの大人帝国の逆襲で感じるノスタルジーだけでできているような雑誌です。 

個人的には、サイズが一回り小さくなってしまったのが残念です。

7.「呉漢」上、下 宮城谷昌光 

呉漢(合本) (中公文庫)

呉漢(合本) (中公文庫)

 

宮城谷さんの新刊が出ているのに気づいて、あわてて買いました。

今回の主人公は後漢を起こした光武帝のもとで将軍を務めた呉漢です。

宮城谷さんの書く人物は、歴史上の記録も少ない中にもかかわらず、実に生き生きと動き回ります。

歴史的事実の広々と開いたすき間を、どれだけの資料と想像力で世界を創りあげているのでしょう。 

8.「孟夏の太陽」 宮城谷昌光

孟夏の太陽 (文春文庫)

孟夏の太陽 (文春文庫)

 

同じく宮城谷さんの作品で、晋の重臣であった趙一族の歴史が書かれています。

ほかの作品でも、晋の趙一族は頻繁に登場するので、これを読み終わったらまた他の春秋時代の お話を読みたくなってしまいました。

9.「三日月邸花図鑑 花の城のアリス」 白川紺子 

後宮の烏」の次の巻が待ちきれず、白川紺子さんのほかの作品を買いあさっています。

三日月邸花図鑑は、先祖代々の家を継ぐことになった主人公の探偵のもとを訪れる少女からお話が始まります。

探偵らしく依頼を受けて調査を行ううちに、三日月邸の秘密が次第に明らかになってきます。

切ない話ではありますが、読後感の明るい良いお話です。

10.「つげ義春日記」 つげ義春 

つげ義春日記 (講談社文芸文庫)

つげ義春日記 (講談社文芸文庫)

 

この人の旅日記や夢日記はとてもおもしろいのですが、もう出尽くしたと思っているところにこんなものが出てきたので、いそいそと買いました。

この日記は現実にかなり近いところにあるもので、読んでいてつらい話も多いのですが、引き込まれて最後まで読んでしまいました。 

この感覚は何かに似ていると思ったら、人のブログを追うのに似ているようです。

まだ読めていない本

買ったものでまだ読めていないものもあります。とりあえず早く読みたいのは、

  • ウィスキー&ジョーキンズ ダンセイニの幻想法螺話
  • アイヌと神々の物語
  • 三体
  • 影響力の武器

などです。読み終えたらまたご紹介したいと思っています。