きょうは、今のところどの作品をとっても外れのない田中相さんの「その娘、武蔵」をご紹介します。
この作品が発表されたときは、「田中愛さんがスポ根?」と思いましたが、この人は題材などにこだわらず、自分の追求したい世界を切り裂いていくようです。
中学生で180cmを超す身長の兼子武蔵は、全日本中学校選手権で優勝をしたにもかかわらずバレーボールをやる事に意味を見出せなくなり、高校ではバレーボールをやめることにして、体罰問題でバレーボール部の崩壊した大仙高校に入ります。
大仙高校では、バレーボール部を存続させてきたメンバーが自分たちのバレーボールを見つけるために苦闘しており、武蔵はそれに巻き込まれて、自分なりにバレーボールをする喜びを思い出していきます。
お話の中で、部活動をすることの意味や、チームを組むこと、指導をする者の危うい立ち位置について、妥協することなくぐいぐいと突き詰めていきます。
体罰を受けて大仙高校を去った元メンバーとの対決がクライマックスですが、後味はこれ以上はないほどに爽やかです。
部活動をするのに悩んでいる人や、指導に行き詰っている指導者の方は、一度読んでみると自分なりの考え方のヒントが得られるかもしれません。
おまけ:個人的にはライバルチームにいる元大仙高校の凛子ちゃんが好みです。黒目勝ちの瞳がとてもキュートです。