今回ご紹介するのは、マーサ・ウェルズさんの「マーダーボット・ダイアリー」です。
いろいろな人が主人公の人型警備ユニットがかわいいという話をされていたので、買ってしまいました。
会社に勤めている間は、通勤時間に本を読んでいたので、さくさくと本を消化できていたのですが、家にいると読む時間が取れません。やることはいろいろあるし、通勤時の列車の中のようなほかにすることのない時間が取れないのです。
半面、読み始めて熱中すると、ほかのことをしないで一気に読んでしまったりして、生活のリズムをこわしてしまいます。
読書を適切にするのは、なかなか意志の強さが必要です。
マーダーボット・ダイアリーは、けっこう読む時間を抑えるのに苦労しました。面白くて、続きを読みたくてたまらなくなるのです。
保険会社の所有物である人型警備ユニットの「弊機」は、以前大量殺戮事件を起こしており、その記憶を封印されています。
ふだんはヘルメットとアーマーで隠れているため、人間たちに見せないのですが、本体は人間と変わらないように作られています。
弊機の本体は有機組織で作られており、身体がある程度以上損なわれると再生不可能になります。そのような状態で、警備ユニットとしての任務をこなしていると、人間でいう大けがもしてしまい、完全無敵というわけではありません。
そして一番肝心な点は、弊機が自分をコントロールしている統制モジュールをハック済みで、ある程度の自由意志を持って行動しており、それを人間たちに隠しているという点です。
弊機は自由意志を持って顧客を守り、趣味の連続ドラマを見ることを最大の楽しみにしています。
ここまでが基本設定です。
警備対象だった顧客の信頼を受けて、保険会社から買い取られ、自由の身になるのですが、顧客との深い信頼関係に縛られるのが嫌で、脱走します。
まあ、ここから先は読んでもらう方の楽しみを減らしたくないので、ネタバレは控えます。いろいろ語りたいんですけど。近くに読了済みの人とかボットとかいるといいんですが、人生はそうそううまくはいきません。
個人的に好きなキャラは、密航した船のボットのARTです。弊機より高性能で、上から目線で行う弊機との掛け合いがなぜかとても人間的で、すてきでした。
説教くさくなく、人間ドラマあり、大活劇あり、ボットドラマありで、お話の続きが楽しみでしょうがなく、眠ってしまった奥さんの横で、こっそり電気をつけて読み進めたりしました。
個人的には、ラストでARTが助けに来て、活躍してほしかったのですが、これは映画の「銀河鉄道999」が好きな私の妄想です。私の脳内でだけ、そんなストーリーで活躍してもらうことにします。
マーダーボット・ダイアリーは現代SFなのですが、なぜか読んでいる間中浮かんでいたイメージは、1960年代に作られたSFドラマの「宇宙家族ロビンソン」でした。殺伐としたストーリーも多いのに、どこかほのぼのとしたイメージが流れているような気がします。