みんながよく考え違いをしているんですが、どこかに自分に向いている仕事があるなんてことはありません。やりたい仕事が見つからなくても悩まなくてもいいんです。
天職を捜して放浪してはいけません
思い込みの強い人は、「これが天職!」というものに巡り合うこともできますが、それが本当に天職かどうかなんて誰にもわかりません。
イチローは野球で大成功しましたが、サッカーならもっとすごい選手になれたかもしれません。陸上で世界記録が出せたかもしれません。病気に関して画期的な研究を成し遂げたかもしれません。
天職は、終わりの時にわかるものです。その仕事を始めた時に嫌で嫌でしょうがなくて、やめたくてたまらなかったとしても、その仕事を終える時に自分がそれをやってきたことに満足できていたら、それは天職だったのです。
嫌だった仕事
私は物事を論理的に考えることが好きだったので、情報システムの開発は性に合っていました。
プロジェクト管理の仕事も、あるべき形に整えることで自動的に仕事の質を向上させることができるので、それを展開することにけっこう生きがいを感じていました。
そんな中で、自社の社内の各部門での監査業務のサポートをアサインされた時、嫌だな、と思いました。
情報システムに関しては、インフラからアプリケーションまでほとんどの内容を理解していたので、難しい仕事ではないのですが、重箱の隅をほじって文句をつけるような仕事と認識していたので、嫌だと思ったのです。
何回か監査に参加して、まあ相手方はこちらを問題をほじくって指摘する敵とみているので、攻撃的な言い方もけっこうされました。でも、違うんですよね。私は同じ会社の仲間なんです。同じ会社の人たちが困らないように、監査的に問題ない形で運営できるように指摘したかったのです。
問題点を指摘したり、質問に答えたりしているうちに、ここでも統合化できそうな一つの流れが見えてきました。
仕事が楽しくするためにやったこと
どこの監査でも、監査項目に書かれていることの解釈と、望まれる対応が明確にわからないので、簡単にできる対策を実施できないでいるだけなのです。
だから私は自分にできることをしました。
監査リストを見て、監査の時によく指摘される項目を選び出し、対策リストを作りました。
- なぜその項目をクリアしなければいけないのか
- どんな対策をすれば指摘されずに済むのか
- 完全な対策は何か、最低限の対策は何か
これをまとめて、監査前に対象部門に送り、事前にできる対策を実施してもらうようにお願いしました。
事前に連絡も取り、疑問点があれば回答して、監査に対する理解を高めてもらうような活動をしました。
監査員がこれをやることはできないのですが、サポートの立場であれば問題ありません。
しいて問題があるとすれば、これが過剰なサポートであるという点です。ここまでのサポートは私が受けているタスクの要求を超えているので、かけている工数に文句を言われることがありました。
しかし、このように各部署の理解度を高めることで、監査でチェックする項目は減り、対策にかける工数が減り、各部署の品質に関するリテラシも上がるので、長期で見れば会社トータルの工数を大幅に減らすことができるということで上司を説得しました。
自分でできることをやって得た結果
楽ではなかったのですが、これを続けるうちに各部署に監査サポートに行ったときの相手の対応が変わってきました。
「こういう場合はどうすればいいんだろう」
「この一覧でカバーできる?」
「ここまでやった方がいい?」
監査を受ける側の人が、私を仲間として認めてくれているんです。食事や飲みにも誘われて、いろいろな話を聞かせてもらったりもしました。
もちろん、私はそれらの質問に対して自分ができる最大限の助言をしました。
各部署の人間が積極的に取り組んでくれるおかげで、サポートする私の工数はどんどん減っていきました。
そんな中で、私が一番この仕事をやってよかったと思ったのは、私が間違った時です。
間違ったというより、監査は監査する側が項目の解釈をするので、監査を受ける側がこれでクリアできると思っても、不十分とされてしまうことがあります。
致命的ではないのですが、是正要という指摘を受けてしまい、その部署で是正対策を作ったり、いろいろと余分な工数をかけることになってしまいます。
申し訳なくて何も言えない私に対して、監査を受けた人が言ってくれました。
「あなたが教えてくれたことで認められなかったんならしょうがない。ここの対応は、次回からは反映しといてね。で、どんなふうに対応すればいいかね…」
私はこれだけ認められているのなら、まだまだ頑張れると思いました。
天職を自分のものにするために
どんな仕事であっても自分でそれを天職にする方策はあります。
もちろん、どうしても今やっている仕事では自分を活かすことができないということはあります。そのような場合は、新たに探す必要もあるでしょう。
ただ、十分に取り組む前に逃げてしまうと、逃げ癖がついてしまいます。
ほかの仕事に移るのは、自分が十分に取り組んだという実感が持てた場合だけにすれば、天職を捜して一生を終えることはありません。
サラリーマンでもフリーランスでもこれは変わりません。
自分の得意な分野のスペシャリストを目指すのが、しあわせになる最短の道です。
仕事を楽しんでください。
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