少し古いのですが、芦奈野ひとしさんの「ヨコハマ買い出し紀行」という作品があります。
ジャンルとしては近未来SFに入るのでしょうが、普通の生活のようなものを淡々とおくる、なんともやりきれないノスタルジーを感じさせるお話です。
主人公のアルファさんは少し前の時代に作られたアンドロイドです。人の手によって作られた人造人間ですが、感性も含めて人間にできるだけ近づけるように作られたため、周りにいる人間たちと不思議な交流をして時間が流れていきます。
アルファさんはアンドロイドなので、人間のように老いることがありません。知り合った人間たちは歳をとっていきます。
おおげさなことは何も出てこず、大きな事件は起こりませんが、何度も読み返してしまうお話です。
一つだけ、かなり古くから入り江に住んでいるらしいミサゴという生き物が出てきますが、この手の生き物を、私も昔知っていた気がします。
日々の生活に疲れている人、心がささくれてしまっている人が読むと、何かのきっかけになるかもしれません。