今週のお題「卒業」
今年の卒業による涙のお別れ戦線は、コロナの乱入により大荒れ模様です。
まだ時間があると思っていたのに、いきなり3月頭で強制的にお別れさせられることによる阿鼻叫喚が聞こえてくるようです。携帯電話でつながっていても、会えないでいるうちに気持ちは遷ろっていきますから。
今週のお題にぴったりのマンガがあります。
徒然チルドレンとは
気持ちを確かめたい高校生たちが、好きな相手に対する想いと、傷つきたくない気持ちの間で七転八倒する物語です。
何がすごいって、登場人物の人数です。顔と性格が特定できる登場人物だけで50人以上いるんです。
どうせモブでしょ、と思うでしょ。違うんですよ。50人がそれぞれ、確固としたキャラクターを持って動き回るんです。
一人のキャラが何かをした時に、「ああ、こいつならこうするよな」と納得できるほどキャラが立っています。
作者はおそらく偏執狂なのでしょう、いいかげんな構成をまったく感じさせずに、この50人強が絡まりあって、学校生活を作り上げています。
必ずしもうまくいくだけではなく、切ない場面もあるのですが、おおよそ不快を感じさせません。そんなに現実は優しくないので、メルヘンなのかもしれませんが、読後感は爽やかです。もっとがんばろうという気持ちになります。
一推しのエピソード
一人一人のキャラクターの先が気になって、 最終巻まであっという間に読んでしまうのですが、10巻が学園祭回で、ここでもう涙腺大崩壊でした。
1ページ目から最終ページまで、すべての要素が反響しあって、「ああ、よかったなあ」と自分の学生時代を思い返すように考えていました。
現実はこんなによかったはずはないのですが、このお話を読むと、それほど悪くなかったような気がしてきます。
一推しのキャラクターたち
人によってまったく違ってくると思いますが、私の好みのキャラクターをご紹介します。
トップは不良の梶さんと生徒会長の赤木くんです。最終巻の赤木くんには泣いてしまいました。あれはずるいよ…
ほかのキャラクターもすべて愛しいのですが、純粋に私の好みで。
ミス・ワビサビと軽音楽部の生方くん。
天文部の加賀くんと七瀬さんと笹原先輩。
自己評価の低い高野さんと菅原くん。
おたくの本山くんは、彼女ができるできないにかかわらず、友人としてそばにいてほしい一人です。
作者も言ってるけど、香取先輩は唯一無二で、私は学校に憑いている妖精なんじゃないかと思っています。
この作品は、本当に全12巻の間、いやな気分になることが全くなく、完璧な小宇宙を形造っています。
幸せになるためには、幸せの形を知っていなければなりません。この作品は、そのための副読本として、傍らに置いておくのに最適なもののひとつだと思います。
↓これが学園祭編です。ほかの巻も見たほうが1000倍楽しめますが…
これを読んだ皆さんが幸せになれますように。